こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

今夏の学会発表


いよいよ夏ですね\(^o^)/


今夏は以下の学会で発表します(正式に受理されたもののみ。7月にもう1個入る予定です)。
タイトル・要旨をアップしておきます。

第44回中部地区英語教育学会山梨大会 (6/21-22)

http://www.celes.info/yamanashi2014/

タイトル
戦後日本における早期英語学習経験の英語力への効果 ――傾向スコア分析を用いた政策評価
要旨
本研究の目的は、早期英語学習経験が成人以降の英語力に与える影響を政策評価の観点から検討することである。

早期英語学習の効果については、すでに膨大な研究の蓄積があるが、ほとんどの研究結果は、政策評価としてのエビデンスの要件を十分に満たしていない。つまり、(1) ほとんどが有意抽出調査のため母集団への一般化ができず、また、(2) 多くが中高生を対象にした調査・実験であり、早期英語の最終的な効果が評価できないという問題がある。

こうした問題点を考慮し、日本の成人有権者から無作為に標本を抽出した「日本版総合的社会調査2010年版」を2次分析し、中学入学以前の英語学習経験が、回答者の英語力(自己認知)に及ぼす因果効果を検討した。なお、早期学習経験と現在の英語力の間には、出身家庭の社会経済的地位をはじめとして、多くの共変量が存在する。そのため、2変数間には擬似相関の可能性が常に存在する。本研究では、傾向スコアにより、仮想的に実験状況をつくりだし、共変量の影響を除去した分析を行った。

その結果、共変量の影響を除去してもなお、早期英語学習経験は、英語力を統計的に有意なレベルで上昇させた。ただし、以下に述べるように、本結果には重大な限界があるため、「因果効果がないとは言えない」程度の結論でとどめておくべきである。

A. 共変量調整が十分でなく、依然、擬似相関の可能性がある(おそらく最も重要な共変量である「親の教育意識」が利用できなかった)
B. 世代的な要因が見かけ上の効果を生じさせた可能性がある(世代別分析では、若年世代以外で因果効果が消失する)
C. 因果効果は必ずしも劇的なものではない(有意とはいえ、「英語力あり」と回答した人が数%増える程度であり、政策的に意味があるか判断がわかれる)

以上の結果を踏まえて、早期英語教育政策の政策的意義について議論する。

第13回 情報保障研究会(7/19(土)、愛知県女性総合センターウィルあいち)

http://www.geocities.jp/syakaigengogaku/zk2014-7.htm

タイトル
「英語言説の批判的研究、理論と方法
要旨
作成中

全国英語教育学会 第40回 徳島研究大会 (8/9-10)

http://jasele40.shikokueigo.org/

タイトル
「英語言説」研究の必要性 ――英語教育研究の学問的自律性のために―
要旨
近年、きわめて多様な英語言説・英語教育言説があふれている。それは、政策文書にはじまり、学会誌や財界の機関誌、はたまたインターネット上のブログ記事と多岐にわたっている。しかしながら、英語言説のなかには、きちんと検証されないまま幅広く流通しているものがあることも事実である(たとえば、「英語使用のニーズは年々増加している」「英語ができるようになれば収入が増える」)。本発表では、こうした言説の学術的検証の必要性を提起したい。(1)まず、有名な英語言説をとりあげ、それがいかに日本社会や日本人英語使用者の実態と乖離しているか確認する。(2)その上で、こうした検証作業の責任を最も負っているのが英語教育研究であること、さらに、(3)英語言説批判は、政治や財界、扇情的メディアから適切な距離を維持し、英語教育研究の学問的自律性を高めるための重要な拠り所になることを示す。

関東甲信越英語教育学会 (KATE) 第38回千葉研究大会(8/23-24)

http://www.kate-j.org/conference/info/conference.html

タイトル
小学校英語をめぐる保護者の意識 ―大規模意識調査データの2次分析から
発表要旨
本研究の目的は、小学校外国語活動の必修化直前に、小学生の保護者が英語教育に対してどのような意識を抱いていたか明らかにすることで、小学校英語教育をめぐる世論の構造に関する示唆を得ることである。小学校英語教育政策の背後には世論の強力な支持があることはよく知られているが、教科化が既定路線化しつつある現在、当時の世論がどのようなロジックで小学校英語を支持していたか、あらためて振り返ることの意義は大きい。データとして、ベネッセ教育研究所によって2006年に行われた「第1回 小学校英語に関する基本調査 保護者調査」(有効回答数 4,718名)を用い、同データを2次分析する。同調査には、非常に多数の設問が含まれているため、本発表ではまず、意識構造の大まかな把握に焦点化する。具体的には、因子分析・共分散構造分析を用いて、小学校英語に対する様々な意識(例:賛否・期待・不安・要望)を要約する。