2017年9月24日(日)に大妻女子大学で開催される日英・英語教育学会第23回大会シンポジウム「英語教育実践・政策におけるエビデンス」にパネリストとして登壇します。
詳細
第23回日英・英語教育学会研究大会(THE 23RD JABAET CONFERENCE)
- 日時:2017年9月24日(日)
- 会場:大妻女子大学千代田キャンパス
- 詳細:https://jabaet.wordpress.com/2017/06/15/23rd-jabaet-conference/
私の提案要旨を掲載しておきます。
提案要旨
エビデンスベーストアプローチは、意思決定のためにエンピリカルデータの質(優良・不良)を明示的に議論する考え方である。しばしば方法論をめぐるハウツーの話と理解されてしまうが、実際にはすぐれて認識論的な議論が根底にある。つまり、メソッドX/研究デザインYを使うと「正しい知識」に到達できると考えられるのはなぜかという問いである。
本報告では、この認識論的な議論に焦点を当て、対比的に既存の英語教育学の問題点を示す。
従来の英語教育学は、メソッド・研究デザインに対する認識論的考察を多くの場合欠いている――「みんながこの方法でやっているから妥当だ」「みんながこういう根拠付けをしているから適切だ」という慣習に重きが置かれているだけのように見受けられる。この結果、意思決定――たとえば特定の教育プログラム、教授法、指導プランを選択するか否か――に関して周辺的な貢献しかできていないことを論じる。
具体的には次の論点を中心に検討する。
- (1) エビデンス階層
- 経験的知見を、研究デザインおよび結果の分散の観点から格付けする考え方
- (2) 因果推論
- 「相関から因果関係はわからない」と開き直るのではなく、相関関係に関するデータ(例、指導法X←→学力Y)から因果効果(例、指導法X→学力Y)を推論する工夫である。適切な推論のために、どのような研究デザイン・分析手法が必要か考える。なお、この論点は一般化することで、量的研究だけでなく質的研究・歴史研究にも適用可能である。
【参考資料】
- 寺沢拓敬 2017 「因果効果を推定するとはどういうことか:小学校英語を事例として」中部地区英語教育学会2017年度大会(2017年6月25日、信州大学)。投影スライド:https://www.slideshare.net/tterasawa/2017-77238088
- 寺沢拓敬 2017 「小学校英語学習経験の中期的効果:エビデンス・ベースト・アプローチに基いて」中部地区英語教育学会2017年度大会(2017年6月24日、信州大学)。投影スライド:https://www.slideshare.net/tterasawa/ss-77657179
- 寺沢拓敬 2016 「Evidence-Based Education Policyと日本の英語教育学」日英・英語教育学会第15回研究会(2016年3月13日、青山学院大学)。投影スライド:https://www.slideshare.net/tterasawa/evidencebased-education-policy
- 寺沢拓敬 2015 「英語教育学における科学的エビデンスとは?:小学校英語教育政策を事例に」『外国語教育メディア学会(LET)中部支部外国語教育基礎研究部会2014年度報告論集』pp. 15-30. https://goo.gl/hWf5f2