書店でたまたま手に取ったというだけの縁で読み始めた2冊(いずれも今年発売)。まったく毛色が違う2冊だが、どちらも非常に面白かった。
アナキズム入門
- 作者: 森元斎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2017/03/06
- メディア: 新書
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著者はベテランかとおもったら年下の方でした。やばい。インスパイアされて次回からこういう文体で書きたくなった。やばい。やばい。
社会科学の考え方
- 作者: 野村康
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2017/05/27
- メディア: 単行本
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応用言語学界でこの種の認識論的リサーチデザインの話(質 vs. 量とか)を真に議論できる人がおらず、私は孤独に考えてこざるを得なかった(昨年のLETワークショップもそれ)。私の独り善がり思考の多くが、この本に既に書いてあった。願わくば、あと3年早く出版してほしかった(笑)
縮減 (id:contractio) 先生 から「批判的実在論」へのツッコミが入ったんだけど(まあ、それはわかるような気もするんだけど)、本書の強みは個人的にはこの批判的実在論を明示的に導入したところだと思う。
少なくとも我が外国語教育研究業界・応用言語学業界ではこの概念を導入するとものすごく議論がクリアになるんだよね。「量 vs. 質」「量と質の混合」みたいな議論は個人的に下手に見えるので。
外国語教育研究の自称メソドロジーが得意な人は、量的研究の背後にある認識論を意識せよ、質的研究の背後に(以下同文)と言うんだけれど、メソッドと認識論は一対一対応していない(理論的にも経験的にも)ということをクリアにするのが「批判的実在論」を導入するメリットだと思う。