こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

「英語教育政策のあり方: 拙著『小学校英語のジレンマ』を中心に」講演スライド(2022年1月9日 新英研関東ブロック研究集会)

突然ですが、新英検関東ブロック研究集会での講演のスライドをアップします。 英語教育(政策)批判がメインテーマですが、拙著『小学校英語のジレンマ』が少しだけ読みやすくなる(かもしれない)Tipsなども含めました。 英語教育政策のあり方: 拙著『小学…

英語教育政策の分析枠組みを考える - CELES2023発表要旨

CELES2023発表要旨を書いていたら、かなり字数オーバーしてしまったんですが、もったいないのでこちらにコピペして供養とします。 タイトル 英語教育政策の分析枠組みを考える(Work in Progress セッション) 要旨 私は、大学・大学院で英語教育政策に関す…

日本の英語教育の学術トレンド:社会学的考察(下書き)

以下の講演要旨の下書きです。LET関西支部大会で講演します - 5月27日@京都大学 - こにしき(言葉・日本社会・教育) 日本の英語教育の学術トレンド:社会学的考察 寺沢拓敬(関西学院大学) 日本の英語教育研究のあり方について、事実レベル(どうなってい…

早期英語の国際比較分析(Hayes, 2022)

Hayes, D. 2022. Early Language Learning in Context: A Critical Socioeducational Perspective. Multilingual Matters. https://www.multilingual-matters.com/page/detail/Early-Language-Learning-in-Context/?k=9781800415843 本書は、早期言語教育(…

LET関西支部大会で講演します - 5月27日@京都大学

5月27日(土)に開催される外国語教育メディア学会(通称LET)関西支部の2023年度春季研究大会に招待いただき、講演します。 講演タイトルは「日本の英語教育の学術トレンド:社会学的考察」です。 日本の英語教育研究のあり方はいかにあるべきか。この壮大…

東アジア4地域の英語話者数を推定した論文が出ました(Asian Englishes 誌)

Asian Englishes から拙稿が出版されました。 Terasawa, T. (2023) East Asia and English language speakers: a population estimation through existing random sampling surveys, Asian Englishes, Online First. https://www.tandfonline.com/doi/abs/10…

日本の英語教育政策研究者の発展史

言語政策研究(者)の発展史として有名なものに、ポスト植民地プロジェクト期→近代化の失敗への反省期→ポストモダニズム期というのがありますが、じゃあ日本の英語教育政策研究に限定したらどうなるの?というのを考えてみました。 異論は認めます。 第1世代…

言語政策における量的研究 (2):大量観察

この記事の続き: 量的研究と質的研究の最大にして唯一の違い - こにしき(言葉・日本社会・教育) 大量観察ではじめてわかること 数値的に現象を要約することの最大の強みのひとつが大量観察である。我々が研究対象とする知識には、大量に観察することでは…

英語教育・バイリンガル教育の御用学者仕草:半科学・半デマ話法

英語教育とかバイリンガル教育が産業化してきたせいか、教育産業から金をもらって「半分デマ」(逆に言うと半分くらいは科学的に正しい)を吹聴する学者が現れ始めているような気がする今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 単なる「真っ赤な嘘…

リレー連載「英語教育にマクロの視点を」に寄稿しました(『新英語教育』1月号)

『新英語教育』のリレー連載「英語教育にマクロの視点を」、1月号分に「英語教育業界と大規模調査」という小論を寄稿しました。現物は見てませんが。 雑誌『新英語教育』|会の活動|新英語教育研究会 New English Teachers' Association 営業妨害になっては…

「小学校の先生の献身的な努力に感謝したい」

「英霊に感謝」という謎感謝で思い出したけど、「厳しい教育財政の中、現場で子どもたちのために頑張ってくれている先生方に感謝」という感謝ポリティクスは、ここ最近の小学校英語の教育言説を読み解く上で結構重要なんじゃないかと思っている。 *** 私…

【統計調査】日本人は自分たちがどれくらい英語を使っていると思っているか

前回に引き続き、私が行った調査から知見を抜粋して報告します。 本記事が注目するのは、タイトルのとおり、日本人は自分たちがどれくらい英語を使っていると思っているかです。ちょっとわかりにくいかもしれないので、整理すると、 「英語を日常的に使って…

言語政策における量的研究 (1): 量的研究と質的研究の最大にして唯一の違い

とある地域でとある施策を行ったので、利用者の満足度が知りたい。 このとき、満足度調査に協力してくれる利用者が3人しかいなかった場合、「満足度は星何個ですか?」などと抽象的な指標で問う必要はない。具体的に、どう満足あるいは不満だったか、どの点…

KATE大会で発表しました(英語教育学のトレンド分析)

寺沢拓敬 2022「日本の英語教育の学術的トレンド分析 ―海外学会および日本語教育学会との比較―」関東甲信越英語教育学会全国大会 2022年12月10日. オンライン開催

「誤用の指摘」が歓迎される場合と悪趣味扱いされる場合:Engrish, 日本の英語オブザイヤー、 #泣いちゃう英語 、「おかしな英語美術館」

追記 この記事は、以下のYahoo!ニュースの記事の下書きです。 ほとんど同じですが、Yahoo!ニュースのほうは、ポイントを1点追記している点、および、Yahoo!ニュースのほうが、全体的にマイルドな表現におさえている点が違います。 news.yahoo.co.jp 「日本の…

【統計調査】日本人の英語使用は、ネイティブスピーカー相手よりも、ノンネイティブ相手の方が多い

昨年3月に私が行った「日本人就労者の英語使用調査:第一次調査」から、テーマを絞って統計をご紹介します。 本調査の調査設計・ワーディングの詳細は以下にありますので、省略します。(それほど癖のあるデザインはとっていないと思うので、常識的かつ現実…

「日本人の英語力は80位」という怪しいランキングを吹聴する人がいますが、マスメディアや識者は安易に飛びつかないようにして下さい。

お断り:この記事は、2年前のヤフーニュース記事をもとに、一部に加筆修正をしたものです。 怪しい英語力ランキングの季節 11月は、英語教育関係者にとって頭が痛いニュースが流れる時期です。 それは、「日本の英語力は世界で××位!また下がった!えらいこ…

【拡散希望】EFランキング2022予想大会にご参加下さい(11月14日まで)

雑なランキング処理と拝金主義プロモで定評のあるEF英語能力ランキングですが、来たる11月15日、本年のランキングが発表されます!これを記念し、本年の結果を予想するアンケートをします!以下のGoogleフォームから予想をお寄せ下さい! EF英語能力ランキン…

二次分析研究で学会発表を申し込みしたら「調査が7年前のものでデータが古い」と言われて不採択になった話。

卒論・修論の締め切りが近づくにつれて、「ネットでアンケートをばらまく卒論・修論をどうにかせえよ」という話が話題になります(参考:卒論のためTwitterのアンケートやグーグルフォームで調査しようとする学生が出てくる時期→まずいので大学教員は指導し…

RでShift-JISの文字列をエンコードを(勝手に)変えずに置換する方法

置換等の文字列操作に stringr パッケージはとても便利ですが、Shift-JISには対応していないらしく(よく知らない)、とくに断りもなくUTF-8に変換して処理してくれるようです。 そのため、同パッケージの str_replace() 関数で置換したオブジェクトを、Shif…

MeCabであらたな単語を "僕の環境で" 辞書に登録する手順メモ

完全に自分専用メモです(この手のメモ、ローカルHDDに保存しておいても絶対に忘れるので)。 私は、コマンドプロンプトの cd 指定すらおぼつかないレベルなので、完全にコピペで再現できるようにまとめました。 登録する単語の情報を .csv に登録する C:\da…

英語教育業界と大規模調査 

2022年8月8日、文部科学省はとても地味に、「英語教育・日本人の対外発信力の改善に向けて(アクションプラン)」を発表した。発表こそ地味だったが、中身は衝撃的だった。といっても、衝撃的だったのは、改革の中身ではない(大臣交代に伴って急ごしらえで…

日本語非対応(中国語?)フォント漢字混入テクストを一括修正するには、はてなブログの編集画面にコピペすれば解決(機序不明)

訂正 2022-10-04:15:37 (PDT) 念のため、コピペを試したところ、混入は直っていませんでした。すみません。一括修正方法をご存じの方、ご教示下さい。 問題 記事の通りです。 日本語テクストをPDFから抜き出すなどの処理をしていると、しばしば、日本語非対…

村上・橋野著『 教育政策・行政の考え方』は名著

教育政策・行政の考え方 (有斐閣ストゥディア)作者:村上 祐介,橋野 晶寛有斐閣Amazon 本書は8月-9月にオンライン読書会で検討しましたが、名著です。名著過ぎて(重要な記述が多数ありすぎて)、簡潔に要約できませんので、読書会に向けて書いたメモを転載し…

2020年代の批判的応用言語学 (Pennycook, 2022)

1ヶ月以上立ってしまったが、言語教育政策論文オンライン読書会の8月例会で読んだ論文のまとめ(というか当日使ったハンドアウトの転載)。 Pennycook, A. (2022) Critical applied linguistics in the 2020s, Critical Inquiry in Language Studies, 19:1, …

公共施策としての言語政策(Gazzola, 2022)

GAZZOLA, MICHELE (2022). “Language policy as public policy”. In: Epistemological and theoretical foundations in language policy and planning. Edited by MICHELE GAZZOLA, FEDERICO GOBBO, DAVID CASSELS JOHNSON, and JORGE ANTONIO LEONI DE LEÓN…

【論文】日本人による英語使用等、パンデミック前後での変化

パンデミック前後で英語使用・国際的日本語使用・翻訳ツール使用がどう変化をしたかを検討した拙著論文が、International Journal of the Sociology of Language に掲載されました。興味がある方はご連絡下さい。 Terasawa, T. (2022) Does the pandemic ham…

テキストマイニングによる全国英語教育学会の学術的トレンド(JASELE2022自由研究発表)

先月の全国英語教育学会(通称JASELE)で、「日本の英語教育の学術的トレンド―テキストマイニングによる自由研究発表要旨の分析―」という題で発表しました。分析途中の内容が含まれるので、引用される場合は、ご一報下さい。 予稿集原稿 https://www.dropbox…

論文が出ました:小学校英語の政策過程分析 (Linguistics and Education, 2022)

過去5年で個人的には最も自信があり、かつ、最も査読者から酷評されつづけた論文、ついに出版されました。 Terasawa, T. (2022) What made primary English education in Japan different from the global trend? A policy process analysis. Linguistics an…

卒論、執筆のヒント(メモ)

仕様変更により、Slack無料版では、しばらく前のアーカイブが消滅するらしいので、ゼミの卒論Slackで行ったコメントのうち汎用性のありそうなものをこちらに移します。 グーグルアンケートフォームのタイトル「アンケート」はあまり良くない。 調査タイトル…