こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

チョムスキーは「変形文法が言語教育に役立つ」と言った

大修館『英語教育』1962年9月号の郡司利男氏による「Generative Grammarと英語教育」という記事について、生成文法の英語教育への受容に関して、興味深い記述を発見。


話の枕として、最近、英語教育界にGenerative grammar への注目があつまっているが、これは本当に「役に立つ」か否か、と問いかけたうえで(ちなみに「役に立つ」の意味するところはなにかというのは脇に置く、と言っている)

この文法案出の中心人物である Chomsky 自身が、小笠原林樹氏への書簡で、「わたしもまた変形文法が言語教育に役立つことになるという気がします。事実、これは、わたしの考えでは、伝統文法や伝統的な語学教育でなされており、これまでなされてきたことの多くに、きわめて類似しております。しかもこれらは、おそらく現代の言語学で不当に等閑に附されてきたものであります(訳責郡司)」(『英文法研究』、第2巻、第4号)と答えている。ここで3つの文法が引きあいに出されている。変形分析(新しい文法の主要部となるもの)、伝統文法および現代の言語学(いわゆる構造主義の文法)である。
(同書 p.22)


チョムスキーがどういう文脈で「変形文法が言語教育に役立つ」と言ったのかは、この引用からだけではよくわからない。要は、『英文法研究』の該当号を見るべしということか。


ただ、『英文法研究』という題を持つ文献はいくつもある。まあ、出版時期などを勘案すると研究社の雑誌『英文法研究』のことだと思われる(→http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=AN00022689*1

*1:しかし、どうやら私が直ぐにアクセスできる図書館にはない