- 作者: 吉島茂,Stephen Ryan
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2014/02
- メディア: 単行本
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ひと言でいえば「日本人」の英語使用の社会統計的分析です。
英語使用と一口に言っても仕事での使用から、趣味やネットでの使用など様々の「使用」があります。さらに、日本社会の全体像を適切に描くためには、英語の非使用者もきちんと考慮することが重要でしょう。それぞれの英語使用・英語不使用が、どのように分布しているのか、JGSSというランダムサンプリング調査の分析から検討しています。そのうえで、得られた知見を、経済学・社会学の(初歩的な)理論と照らし合わせながら論じたのがこの論文です。
たとえば、以下のようなグラフをもとにいろいろ論じていると思ってもらえればイメージしやすいでしょうか。
結果の要約部分(p. 242)をコピペ
本稿は、日本社会の英語使用の必要性に関する知見を得るため、「日本人」の英語使用を計量的に検討した。その結果を今一度まとめるとつぎのとおりである:
(1) 全体的に見ると、「現在英語を使っている」と回答した人 (JGSS-2002/2003) は、使用のタイプがどのようなものであれ、「日本人」全体から見ればごくわずかであり、「過去1年間での使用が少しでもあるか」というように英語使用の定義を大幅に緩めても、過半数には至らない、
(2) 英語使用率は世代によって大きな差があるが、使用率が相対的に高い若い世代であっても、世代全体に使用が浸透しているということはない、
(3) ジェンダーによる英語使用率の差も大きい。とくに、若年層・高学歴層の女性が、外国人の友人・知人との付き合いのためや趣味的な英語使用と親和的であり、一方、若年層・高学歴層の男性は、仕事やネットでの英語使用が特に多いという特徴が見られる、
(4) 女性が「仕事での使用」から相対的に遠い位置に置かれている構図は、ライフスタイルとの関係を見た場合も同様で、「仕事での英語使用」は専門職・管理職の男性に特徴的に見られる一方で、女性の専門職・管理職就労者からは相対的に離れた位置にある。