こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

卒論・修論のオープン発表会の意義

卒論修論の目的は大雑把に言って3つある。

  1. 学位を取る
  2. 自分の成長のために学びを深める
  3. 研究を通して、学界 and/or 社会に貢献する


1番目・2番目が、「自分のため」という機能、3番目が「他者のため」という機能である。

世の中には、「自分のため」の割合が100%という卒論・修論はあるし、あってもよいと思う。

たとえば、「これだけ本を読みました!」「勉強しました!」「頑張りました!」といった論文である

ただし、卒論修論の内容に人間が介在している場合(いわゆるヒトを対象にした実証研究)、そうも言えなくなってくる。

もしこの手の実験・調査が100%自分のためだったとしたら、実験・調査に協力してくれたひとはあなたの利益のためだけに時間や労力を割いたことになってしまうからだ――参加者に謝金が発生するケースの倫理的判断はけっこう微妙なのでここでは除外。

このような研究スタイル、つまり、他人に割いてもらったリソースを、すべて自分の利益のためだけに使うというスタイルは倫理的に問題がある。

この場合、被調査者への説明責任を倫理的な意味で果たす一つの方法が、オープンな場所(含む:個人研究会・ネット)で発表することである。


たしかに「こんな論文なんて発表しても社会に1ミリも貢献できないんじゃないか・・・」という気持ちになる人がいるのもわかる。実際貢献できるかどうかよりも、どれだけ調査倫理のような「建前」を担保できるかが研究プロセス全体の妥当性にとって重要である。(研究プロセスに研究倫理が含まれないという人はいないだろう)

オープンな場所での発表には、たとえば学会発表、インターネットでの公表などがあるが、もっとハードルの低い方法に、以下のような卒論/修論発表会を利用するというものがある。


外国語教育・応用言語学系だと、私が知る限り以下の様なものがある。
分野的に該当する場合は利用することを強くおすすめする。


関東地区

http://www.geocities.jp/icet_webpage/home/index.html

  • 注1 締切がものすごく迫っているものがあるので注意!
  • 注2 中部・関西・関東となっているが、居住地などはかなり柔軟に考えてよいっぽい。たとえば、「東北在住者→中部地区で発表」など。ただ、私は関係者ではないので詳しいことはわかりません。すみません。