こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

CELES課題別研究プロジェクト発表③ 英語教育における「エビデンス」:評価と活用

今月24日・25日に信州大学で行われる中部地区英語教育学会(CELES)で2本の報告をします。

  • 一つ目:1日目午後の自由研究(口頭発表)
  • 二つ目:2日目午後の課題別研究プロジェクト発表③ 英語教育における「エビデンス」:評価と活用


以下、2つ目について、寺沢担当の報告内容を以下に記します。(1つめについてはこちら

発表スライド

https://www.slideshare.net/tterasawa/2017-77238088

タイトル

因果効果を推定するとはどういうことか:小学校英語を事例として

要旨

本報告では,まず EBM 等の用法に準拠して「エビデンス」を「因果効果」と定義する。それを踏まえ,特定の教育プログラム(処遇)が学習者の学力向上(結果)に与える因果効果を,いかにすれば推定できるのか論じる。


事例として小学校英語の効果に関する実証研究をとりあげ,そのほとんどが適切な因果効果の推定に失敗していることを論じる。これは,英語教育学固有の問題でもある。なぜなら,英語教育学者によって伝統的に行われていた手法(たとえば,経験群と統制群のt検定・分散分析等による単純比較)では,因果効果を推定することはほぼ不可能だからである。医学や経済学,公共政策研究で使われている因果推論のメソドロジーを紹介し,英語教育学への適用可能性を考える。