ルイ=ジャン・カルヴェ『言語政策とは何か』を久々に読んだ。意識高い界隈で流行っているようなので、本の内容について自分にだけわかればよいというノリで図解しました。
この本は、大学院進学の直後に読んだ。当時(約15年前)は、言語政策を冠した和書で手に取りやすいものはこれくらいしかなかった。
ほぼ知識ゼロだったので、その時は、「トピックがとっ散らかっていてよくわからん」と思ったが、再読したら全然そんなことはなかった。むしろ、短い分量にもかかわらず、よく練られた章立てだと感心するほど。当該テーマへの背景知識が豊かになると、ロジックが追える(逆に言えば、ある作品が「非論理的」に見えるのは知識不足だから)というのの好例だろうか。
唯一、(世界の言語状況にはそこそこ知識はありつつも)「言語政策」の初学者が、若干困惑してもおかしくないなあと思ったのが、言語政策における「政策」の独特の射程。1章の一部および2章全体が、狭義の「政策」(権力による介入行為)を越えたものを扱っている部分は、つまづきのもとかもしれない。もっとも、これはカルヴェの独自さというより、言語政策研究自体が「政策」についてそういう境界設定をするということである。
2章までで読者が「ぜんぜん政策の話でてこないやん、俺はいったい何読まされてるんだろう・・・」と息切れしてしまうと、3章以降との連関が理解できなくなってしまう。自分もこんな感じで「とっちらかっている」という印象を受けたのかもしれない。