期末レポートの季節ですね。別名、「盗用・剽窃」指導の季節ですね…。
大学教員には(おそらく)あまりにも自明な「なぜ剽窃がだめなのか、何が剽窃にあたるのか」ですが、学生からはその基準がわかりづらいという声がしばしば聞かれます。
「剽窃=アウト」の話は、以下の2種類の「罪」が混在しているからわかりにくいんだと思います。つまり、
- アイディアを他人から借りたのに、クレジットを表記しないという罪
- 自分で文章を「創造」せず、他人の文章を借りてお茶を濁す怠惰という罪
前者は出典を明示すればセーフになりますが、後者は出典を明示する・しないにかかわらずアウトです(例外は直接引用)
前者、つまり「人のアイディアを自分の発案であるかのようにパクる」はいかにもズルいので、倫理的にアウトというのはわかりやすいでしょう。
一方、わかりにくいのが後者。これは、「他人の文章を使うのは悪」という感覚が、生活実感や「大学の外の常識」と乖離しているからでしょうね。「出典を明示してるんだから、その文章をある程度コピペして借りてきてもいいのに、なんで卑劣な奴みたいになじられなきゃいけないの」という反応が出ることは、わからんでもありません。
実際、私たちは他人の言葉・文章をパクって(借りて)暮らしています。極端な例は、日常会話。私たちは他人の言葉をパッチワークで喋っています。(完全にクリエイティブな「自分だけの言語」では、他人とコミュニケーションができません)
また、アカデミックあるいはクリエイティブな文章を書くことを生業にしている人(研究者、作家、記者など)であっても、事務的な文章では他人の文章をパクる(借りる)ことはごく当たり前ですよね。たとえば、経理申請書類とか出張届けとか事務的なメールの文章とか。
上記の (a) (b) の基準をなぐり書きしてみました。こんな汚い図を使いたい人はいないと思いますが、ご自由にお使いください。