こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

2025年12月16日(火)午後に国立国語研究所で講演します

2025年12月16日(火)午後に国立国語研究所で「マルチリンガリズムを社会統計で測る:可能性と課題」という題目で講演します。私も立川(日帰り出張)まで行きます。


以下コピペ。

【研究会趣旨】

 日本社会は大きな転換期にある。日本に中長期的に在留する外国人数は過去最高を更新し、日本人との接触は日常化している。それにともない、日本語以外の外国語使用が顕在化し、その一例として、都市部を中心に見られる多言語景観は社会の耳目を集めている。日本語に関しても、高齢者や障碍者のコミュニケーション、外国人対象の「やさしい日本語」、生成AIの日本語、危機言語をはじめとする日本語変種など、日本語内部の多様性が進行している。こうした日本社会における新たな言語使用の実態について、日本全国で日本語を含むどのような言語がどのくらいの人々によって、どのような場面で用いられているかといった情報は、国の言語政策立案の根幹であり、言語学を含む人文社会系の研究にとっても必須の情報である。しかし、日本ではこの種の公式な統計は存在しない状況が放置され、従来の言語生活調査の多くは特定の地域や集団を対象とする研究に限定されている。現代日本社会の新たな言語生活が内包する複雑な言語使用実態を総合的かつ科学的に把握するためには、マクロな全国規模の言語生活調査とミクロなフィールド言語生活調査の両面から、言語学を含む関連領域の専門家チームをもってアプローチすることが必要である。

 本研究の目的は、国立国語研究所の言語生活調査の知見を踏まえ、新たな言語生活の実態把握のための研究手法の探索と学際的な研究体制構築の実現可能性を検討することである。具体的には、マクロな全国規模の言語生活調査とミクロなフィールド言語生活調査に関連する研究者(統計学社会学、経済学、文化人類学社会学など)や実践家等を招聘した研究会を定期的に開催し、新たな言語生活研究の創生に向けた議論とネットワークの構築を目指す。

【日時・場所】

2025年12月16日(火曜日) 13:15-15:15

対面:国立国語研究所 2F多目的室

オンライン:Web会議サービスの「Zoom」を使用

【講師】

寺沢拓敬(てらさわ たくのり)氏

関西学院大学 社会学部・大学院言語文化コミュニケーション文化研究科、准教授

【講演題目と概要】

「マルチリンガリズムを社会統計で測る:可能性と課題」

前半では、寺沢(2015)の研究「英語以外の外国語に関する日本人の意識」を取り上げ、日本人の外国語観を分析する。後半では、個別言語を対象とした社会調査における課題と、その解決に向けたアプローチ(主に英語だが他言語を含む一般的な話)について議論する。

参照:寺沢拓敬(2015)「英語以外の異言語に対する「日本人」の態度の社会統計的分析」『「日本人と英語」の社会学 ??なぜ英語教育論は誤解だらけなのか 』研究社

【司会】

福永由佳

【参加方法】

資料準備の都合上、参加をご希望される方は以下の申し込みURLからお申し込みください。お申込みをなさった方には、資料とZoomURL(オンライン参加希望者のみ)を事前にお送りします。

・申し込みフォームURL https://forms.office.com/r/X6Dy5NvW5S?origin=lprLink

論文が出ました:英語教育研究におけるコロニアリスト研究慣行

論文が出ました。

今年6月の学会発表(亘理陽一さんとの共同発表) および8月のCCBIシンポジウムでのパネルディスカッション をもとにした論文です。

問題意識提示型の論文ですので,粗い部分もあると思いますが,ご意見お待ちしております。

臨界期と早期英語教育と業者話法

臨界期と早期英語を結びつけて小話したがる人たち

小さいころから英語を学び始めれば、将来、高い英語力を身につけることができますか?〜第1回:臨界期仮説について〜 | バイリンガル教育の研究機関【バイリンガルサイエンス研究所】

■ 今回の悩み・疑問

さいころから英語を学び始めれば,将来,高い英語力を身につけることができますか?

■ 回答

日常生活で 第二言語に触れる環境であれば,触れ始めた年齢が低い人のほうが最終的に高い能力を身につけている傾向にあります。特に,ネイティブ・スピーカーと同レベルの発音を身につけられるかどうかは,年齢から影響を受けやすいと考えられます。しかしながら,発音も含め,第二言語習得には年齢以外にもさまざまな要因が影響する可能性があります。そのため,特に英語が日常的に使われていない日本の場合は,必ずしも英語に触れ始めた年齢だけで英語力が決まるわけではありません。

今回は,臨界期仮説に関する先行研究を紹介します。

最後の2文が象徴的。 「日本の場合は,必ずしも英語に触れ始めた年齢だけで英語力が決まるわけではありません」→「今回は,臨界期仮説に関する先行研究を紹介します。」

ここの一文目と二文目は,論理的にものすごい飛躍をしている。ここに気付かないと,早期英語業者の「臨界期」詐欺に引っかかってしまうので注意したほうがいいでしょうね。

とりわけ,「必ずしも英語に触れ始めた年齢だけで英語力が決まるわけではありません」の「必ずしも~ない」話法は,嘘は言ってないが,論理をかなり曖昧にしていてアンフェア。(日本のような環境の場合)英語に触れ始めた年齢は,疑似相関の疑いのある他の要因を統制した場合,英語力と関係があるとする証拠はほぼないからだ。 もっと厳密・正確に書けるはずなのに,そう書かずに,早期接触の効果に含みをもたすような書き方は,たいへん「業者的」ですね。「(日英)バイリンガル(を育成する)教育」を推進している団体ならでは。

厳密な書き方の例。「英語に日常的に接触していない環境においては,英語に触れ始めた年齢だけで英語力が左右されることはほぼ確実にありません」くらいは,まともな研究者なら書けるはずだよね。「条件XにおいてP→Qは偽である」を,「条件XにおいてP→Q は必ずしも真ではない」と書いちゃうのは,嘘はついてないが,ミスリーディング。

L2臨界期研究と早期開始意思決定が無関係な点,3点

L2臨界期研究のエビデンスは,日本の文脈で早期英語学習をすべきかどうかという意思決定と全く関係ありません。英語教育学者にもすぐ両者を結びつけて論じてしまう人がいますが,「学生時代にコースワークでL2臨界期を勉強させられたので,その後専門的には学んでいないが,つい何か言いたくなっちゃった」だけだと思っています。

L2臨界期研究と早期英語学習すべきか(意思決定)が無関係な最大のポイント3つ

  • 1)想定する学習者像が全然違う
    • 生活に英語があふれている(したがって最低限の生活英語力であれば誰もが身につけている)環境での「L2英語学習者」と,外国語として英語を学ぶ学習者(これは上記のバイリンガルサイエンス研究所の記事が指摘している点)
  • 2)アウトカムが全然違う。
    • 臨界期研究でしばしばフォーカスがあたるL vs. R 等の特定音素の弁別とか脳波の動きなど。これらは「臨界期研究(認知科学)」にとっては重要な分析対象だが,早期学習を始めるかどうかの意思決定にとってそんなことはクソどうでもいい!
  • 3)L2臨界期研究の知見は,基本的に効果量が小さい。
    • ちょっと条件を変えれば吹けば飛ぶ程度の「効果」なので,早期学習の意思決定においてそんなことはクソどうでもいい!
    • 他方,たとえ直感的に検知できない微小な差だとしても,確かに効果が存在しているのであれば,科学的メカニズムの新知見につながるかもしれないので,認知科学の観点では重要。

ちょっと考えてみて下さい。「早期英語経験者は,非経験者に比べて,LとRを聞き分けられる人が3%多いことが明らかになった」(架空だがありそうな例)と聞いて,「うわー,早期英語すごい!絶対やるやる!!!」となりますか。ならないでしょ。普通は「エビデンスしょぼすぎ,ズコー」でしょうが。

早期英語や「おうち英語」を推進する応用言語学者は,そういう詐欺商法のように科学を持ち出すんじゃなくて,もっと誠実な根拠を選ぶべきです。たとえば「非科学的と言われても構わない!私は,英語を学んでる子供を見守るのが大好きだから早期英語に賛成!」みたいな実存的な根拠の方が断然まし。

「新しい英語」観の尺度いろいろ(メモ)

独自の質問紙調査を設計している関係で,先月,いわば「新しい英語」観(要は,国際英語論とかGlobal Englishes とかネイティブ主義とか)に関する尺度にどういうものがあるのかサーベイしていました。網羅的というには程遠いですが,そのときのメモをシェアします。

いろんな尺度を見た限りでの感想ですが,多くの尺度で統計的なバリデーション(妥当性検証)はしっかりやっている一方で,アーギュメンテーション(論証=要するに,なぜこの項目や因子がXという構成概念を構成するのかを理詰めで説明すること)がわりと貧弱だなあという印象を受けました。

「先行研究の◯◯がこう言っていたから,これも構成概念に含める」みたいな論証が散見されました。その先行研究がほんとうにガッチガチの尺度開発研究なら自然な論証ですが,よく見ると,事例研究だったり,提言論文だったりと,証拠の質としてかなり異質なものが論拠になってました。その程度の論証でいいのであれば,「ぼくの先生がこう言っていたから」「うちのおかんがこう言っていたから」だって変わらない。

であれば,先行研究は参考情報程度にして,主観でかつ超理詰めで議論を展開してほしいなあと思いました。たとえば,「これを構成概念に含める。なぜなら,以下の理由で(私が)重要だと思うからだ。その理由は(以下数十行続く)」のように。理詰めの説明がないと,構成概念の全体像が見えず,ユーザーとしては困ってしまう。

以下,メモの仕方に関する注釈

  • 箇条書きになっている項目は,論文からの引用。地の文はわたしのコメント。
  • 原文はすべて英語。日本語の部分はDeepLをフル活用した和訳

「国際語としての英語」認識尺度

「国際英語認識尺度」 (EILPS) という尺度があって,それを使って国際比較(※)をする研究が結構あるらしい。

国際比較と言っても中身をよく見ると,「A国のα大学とB国のβ大学の学生を比較する」といった程度の意味の「国際比較」なので,けっこう腰砕けの感はある笑

4概念,14項目で構成される尺度なんだけど,社会状況について認識を問うているものと,自分の対応力について評価しているものと,英語使用への向き合い方に関する規範意識を問うているもので結構バラバラ感がある。きちんと開発したことは疑ってないけど,これ,よく統合的な尺度になったなあ。

  • 英語の現状(CSE

    • (CSE1) 英語は今日、世界中の人々と効果的にコミュニケーションをとる国際語として使用されている。
    • (CSE2) 英語を母語としない多くの国々が、現在、英語を公用語または作業言語として使用している。
    • (CSE3) 英語は、今日の世界におけるビジネス、文化、教育の言語である。
  • 英語の多様性(VE)

    • (VE1) 香港英語、インド英語、シンガポール英語など、様々な英語のバリエーションが今日では受け入れられている。
    • (VE2) 教師は、異なる英語アクセントを持つ人々によって録音された英語リスニング教材を使用できる。
    • (VE3) インドネシア英語、台湾英語、日本語英語など、様々な英語のバリエーションが今日では受け入れられている。
    • (VE4) 教師は、英語リスニング教材に非母語話者間(例:インドネシア語話者と日本語話者)の対話を含めることができる。
  • 多言語・多文化コミュニケーション戦略(SMC)

    • (SMC1) 異なる文化的背景を持つ人々との交流に応じて、会話スタイルを調整できる。
    • (SMC2) 他の文化圏の人々に、自身の文化や習慣を英語で明確に説明できる。
    • (SMC3) 母国とは異なる話し方や発音パターンを、オープンな姿勢で受け入れることができる。
    • (SMC4) 対話する英語話者に応じて、適切な振る舞いができる。
  • 英語話者のアイデンティティ(ESI)

    • (ESI1) 英語教師は、私に「ネイティブ」のような話し方を強要すべきではない。
    • (ESI2) 自分の英語を話すときに、そのアクセントを笑われても気にしない。
    • (ESI3) 自分の英語が他者に理解されさえすれば、アメリカ英語やイギリス英語のように話す必要はない。

グローバル英語志向尺度

タイトル通りで,「グローバル英語 (Global Englishes)」をどれだけ志向するかをとらえた尺度。2因子で24項目。

まず第一に,Global Englishes 自体が応用言語学者の造語(i.e. 理論的構築物)なので,それに関連すると思われる諸現象を包括的にとらえるところが第一歩という感じだろうか。(そのわりに2因子しか立ってないので,この尺度自体は特定の構成要素を狙ったものという感じはする)

Funada, N., Montakantiwong, A., Briggs Baffoe-Djan, J. & Rose, H. 2020 https://www.researchgate.net/publication/343135772_Global_Englishes_Orientation_Questionnaire_GEO-Q

  • 因子1 グローバル志向 (α= .91)

    • 英語プログラムは、学校内外を問わず、異なる言語背景を持つ話者との言語実践の機会を学生に提供すべきである。
    • 単一の英語タイプを学ぶよりも、様々な英語のバリエーションを学ぶ方が有益である。
    • 英語の授業で様々な英語のバリエーションに触れることは、私の英語力を向上させるために重要である。
    • 将来、母語/第一言語と英語の両方を身につけておくことは私にとって有益である。
    • 優れた英語教師は、学習者が様々な英語のバリエーションについて学ぶ機会を提供する。
    • 様々な英語のバリエーションに対する認識は、より幅広い英語話者について学ぶことを可能にする。
    • 様々な英語のバリエーションに対する認識は、良い仕事を得るのに役立つ。
    • 多言語コミュニティで生活・学習・働くために英語を使いたい。
    • 英語に加えて他の言語を話すことは重要である。
    • ネイティブのようなアクセントよりも、明瞭な発音が重要である。
    • 英語は私の言語の一つである。
    • 教師にとってネイティブのようなアクセントよりも、明瞭な発音を持つことがより重要である。
    • 様々な英語圏コミュニティについて知りたいので英語を学んでいます。
    • 教材には多様な英語アクセントの話し手を含めるべきです。
    • 他の文化グループの活動にもっと自由に参加したいので英語を学んでいます。
    • 英語は第一言語話者と第二言語話者の双方に属するものです。
  • 因子2 伝統的志向 (α= .81)

    • 優れた英語教育は、学生がアメリカ英語/イギリス英語を使用できるよう準備することに焦点を当てる。
    • 英語学習の目標は、ネイティブのようなアクセントで話すことである。
    • アメリカ英語やイギリス英語を学ぶことは、他の英語の変種を学ぶよりも優れた教育的・職業的機会を提供する。
    • イギリス英語やアメリカ英語などの英語の変種は、インド英語やシンガポール英語などの英語の変種よりも正しい。
    • 教師の役割は、学生がネイティブ並みの習熟度を身につけるのを助けることである。
    • 流暢な第二言語としての英語話者は、ネイティブのアクセントで話す。
    • 英語のみが通用するコミュニティで生活/勉強/働くために英語を使いたい。
    • 優れた英語教師は、学生に英語を母語とする文化を紹介する。
    • 英語の様々な種類を学ぶよりも、特定の英語の種類を学ぶ方が、より多くの機会を得られる。
    • 英国英語や米国英語などの英語の種類は、インド英語やシンガポール英語などの英語の種類よりも正しい。
    • 教師の役割は、生徒がネイティブのような習熟度を身につけるのを助けることである。
    • 流暢な第二言語としての英語話者は、ネイティブのアクセントで話す。
    • 英語のみが通じるコミュニティで生活/勉強/働くために英語を使いたい。
  • Factor 1 Global Orientation (α= .91)

    • English language programs should provide students with opportunities to practice the language with speakers from different language backgrounds, both in school and beyond.
    • Studying different varieties of English is more beneficial than studying one type of English.
    • Exposure to different English varieties in an English class is important to improve my English.
    • It will be useful for me to have both my native/first language and English in the future.
    • The good English teacher provides opportunities for learners to learn about different English varieties.
    • Awareness of different English varieties will enable me to learn about a greater range of English speakers.
    • Awareness of different English varieties can help me get a good job.
    • I would like to use English to live/study/work in a multilingual community.
    • It is important to speak other languages in addition to English.
    • Clear pronunciation is more important than a native-like accent.
    • English is one of my languages.
    • It is more important for teachers to have clear pronunciation than a native-like accent.
    • I am learning English because I want to know about various English speaking communities.
    • Class materials should include speakers who have a range of accents in English.
    • I am learning English because I want to participate more freely in the activities of other cultural groups.
    • English is owned by both first and second users of the language.
  • Factor 2 Traditional Orientation (α= .81)

    • Good English language instruction focuses on preparing students to use American/British English.
    • The goal of learning the English language is to speak with a native-like accent.
    • Learning American or British English provides better educational and professional opportunities than learning other varieties of English.
    • English varieties such as British and American English are more correct than English varieties such as Indian or Singaporean English.
    • The role of the teacher is to help students develop native-like proficiency.
    • A fluent second language speaker of English speaks with a native accent.
    • I would like to use English to live/study/work in an English-only community.
    • Good English teachers introduce students to native English-speaking cultures.

「英語普及への態度」尺度

英語が世界に普及/拡大することに対する態度をとらえた尺度。5因子23項目

Takahashi, C., & Im, S. (2023). Attitudes toward the spread of English and language learning motivation: A graded response model analysis. International Journal of Applied Linguistics, 33, 190?206. https://doi.org/10.1111/ijal.12457

このIJALの論文,尺度開発なのに,実際の項目が載っていない。出版社のミスで,編集中に Appendix から抜けてしまったんだろうか(実際,私もこれをやられたことがある笑)。

なお,こちらのハワイ大学の同名の論文には,末尾にAppendixがついているので以下はそのコピペ。https://hawaii.edu/sls/wp-content/uploads/Takahashi-Im-2021.pdf 1

  • 英語の普及に対する肯定的な感情

    • F2英語が世界共通語であることは便利だ。
    • 22英語が世界中で使われているのは良いことだ
    • F6英語が公用語になれば良い
  • 英語普及の実用的な側面

    • P30 グローバル化の時代であっても英語が使えないことで特に不利に感じることはない。(逆コード)
    • P17経済的に不利にならないよう、グローバル英語を学ぶべきだ。
    • P20 グローバル化の時代であるため、英語は将来私にとって重要になる
    • P12英語能力がなければ、我が国は経済的に取り残される。
    • P3世界がグローバル化しているため、英語能力が必要だ。
    • P26英語能力と経済力は関連しているため、英語は私にとって重要だ。
  • 異文化コミュニケーションツールとしてのグローバル英語

    • T29英語は異文化間コミュニケーションに便利である。
    • T15英語は国際共通語として外国人と交流するツールである。
    • T8国際共通語として、英語会話力が最も重要である。
  • LOTE学習の無意味さを感じる

    • Q5. 母語以外の言語でコミュニケーションするには英語で十分である。
    • Q7. 英語以外の外国語を学ぶ必要はない。
    • Q11. 英語がグローバル言語となったため、第二外国語を学ぶのは無意味である。
    • Q13. 多様性の観点から、英語以外の言語を学ぶべきである。(逆コード化)
    • Q19. 外国語学習の目的の一つは、言語を通じて異なる思考様式を学ぶことである。(逆コード化)
    • Q25. なぜ英語以外の言語を学ばなければならないのか理解できない。
    • Q27. 英語以外の外国語能力を持つことは重要である。(逆コード化)
  • 意図的な英語学習努力

    • Q4. 私は英語の勉強に一生懸命取り組んでいる。
    • Q9. 私は英語の勉強に多くの時間を費やしている。
    • Q16. 私は英語の勉強に多くの努力を注いでいる。
    • Q23. 私は常に自分の英語学習活動について考えている。
    • Q28. 最近の私にとって、英語の勉強は非常に重要である.
  • Positive feelings toward the spread of English

    • Q2. It is convenient that we have English as a global language.
    • Q6. It will be good if English becomes an official language.
    • Q10. English is too wide spread in the world. (reverse coded)
    • Q14. The society will be homogenized if English is pervasive as a global language. (reverse coded)
    • Q18. English has become advantageous compared to other languages.
    • Q22. It is good that English is used all over the world.
  • Pragmatic aspects of the spread of English

    • Q3. I need to have competence in English because the world is globalized.
    • Q12. Without English competence, our country will be economically left behind.
    • Q17. I should study global English so as not to be economically disadvantaged.
    • Q20. English will be important in the future for me because we are in the era of globalization.
    • Q26. English is important to me because English competence and economic power are related.
    • Q30. Even in the era of globalization, I do not feel particularly disadvantaged for not being able to use English. (reverse coded)
  • Global Englishes as an intercultural communication tool

    • Q1. I can communicate with people around the world by using global English.
    • Q8. When it comes to a global language, English conversation skills are the most important.
    • Q15. English is a tool to communicate with foreigners as a global language.
    • Q21. English is useful for understanding people with different cultural backgrounds.
    • Q24. I have no awareness of English as a communication tool. (reverse coded)
    • Q29. English is convenient for intercultural communication.
  • Feeling meaningless in studying a LOTE

    • Q5. English is enough for communicating in languages other than my first language.
    • Q7. It is unnecessary to study foreign languages other than English.
    • Q11. Because English has become a global language, it is meaningless to study a second foreign language.
    • Q13. I should study a language other than English from the standpoint of diversity. (reverse coded)
    • Q19. One of the purposes of learning foreign languages is to learn different ways of thinking through language. (reverse coded)
    • Q25. I do not understand why I have to study a language other than English.
    • Q27. It is important to have competence in a foreign language other than English. (reverse coded)
  • Intended English learning effort

    • Q4. I work hard at studying English.
    • Q9. I spend a lot of time studying English.
    • Q16. I put a lot of effort in studying English.
    • Q23. I constantly think about my English learning activities.
    • Q28. Studying English is very important to me these days.

「ネイティブスピーカー・モデル」尺度

ネイティブスピーカーを英語学習・英語使用の標準(モデル)とすることを肯定する態度をとらえた尺度。

Harris, J. (2023). The native speaker model and language learners: developing a measurement instrument. Asian Englishes, 26(1), 106?123. https://doi.org/10.1080/13488678.2022.2158264

日本の文脈で開発。

人種をめぐる態度が外されているのが印象的。私の半径5メートルでは「ネイティブスピーカー主義から人種の話を抜きにして論じるなんてナンセンス」2という意識が基本だし,常識的に考えても人種主義がなければこれだけ英語ネイティブスピーカー主義は蔓延しなかったわけなので,意図的に抜いているならその狙いが気になりますね。

ところで,この尺度に限らず「テレビで日本人(or自国民)が英語を話すのを見ると誇らしい」みたいな「誇り」系項目を使う研究者が結構いる。これってうまく分離できるのかなあ(実証的にはうまく行ってるみたいだが)。思うに,英語に熱い思いありすぎで「日本人英語恥ずかしい」と思う人は「Disagree」と言う一方で,「熱い思い」が皆無の人も「そんなんどうでもええわ」というノリで「Disagree」と言うんでは?

  • 第一因子:ローカライズされた英語に対する態度

    • 1 外国人との会話では日本語訛りの英語を話しても問題ない
    • 2 日本語訛りの英語は外国人にも十分に理解可能である
    • 6 国際的なコミュニケーションにおいて、理解可能であれば日本の英語は受け入れられるべきである
    • 10 完璧な英語コミュニケーションにはネイティブのような発音は必要ない
    • 11 日本英語は完全に受け入れられる英語の形態である
  • 第ニ因子:他の非ネイティブ話者に対する態度

    • 8 日本人英語教師から英語コミュニケーションについて多く学べる
    • 13 他の非ネイティブ英語話者との交流から英語について多く学べる
    • 15 英語はもはやネイティブ話者の専有物ではなく、使用する全ての人々のもの
    • 16 テレビや公の場で日本人が英語を話す姿を見ると誇らしい
  • 第三因子:所有感

    • 5 日本人は英語が流暢になっても、自分のアクセントを保つことが重要である
    • 12 日本人は英語を話すとき、日本人のアイデンティティを保つことが重要である
    • 18 他の非ネイティブスピーカーはネイティブのアクセントを真似る必要はなく、母語のアクセントで話すべきである
  • Factor 1: attitudes to localized English

    • 1 It is okay to speak English with a Japanese accent when talking to non-Japanese people
    • 2 Japanese-accented English is adequately intelligible to non-Japanese people
    • 6 In international communication, the Japanese variety of English should be accepted as long as it is understandable
    • 10 It is not necessary to have an accent like a native speaker to communicate perfectly in English
    • 11 Japanese English is a perfectly acceptable form of English
  • Factor 2: attitudes to other non-native speakers

    • 8 I can learn a lot about communicating in English from Japanese teachers of English
    • 13 I can learn a lot about English from communicating with other non-native speakers of English
    • 15 English does not belong to native speakers anymore, but instead to anyone who uses it
    • 16 I am proud when I see Japanese people speaking English on TV or in public
  • Factor 3: feelings of ownership

    • 5 It is important that Japanese people keep their own accent even when they become proficient in English
    • 12 It is important for Japanese people to keep their Japanese identity when speaking English
    • 18 Other non-native speakers of English do not need to imitate the native accent and should speak with the accent of their first language

「ネイティブ vs. 非ネイティブ」英語使用者規範尺度

5因子40項目。

因子はそれぞれ,言語的実利主義、コミュニケーション重視、民族相対性、言語維持、言語的威信 ( linguistic instrumentalism, communicativity, ethnorelativity, language maintenance, and linguistic prestige) 。

項目詳細は略。妥当性はともかく,40項目もあると実用的にはけっこう厳しいんじゃないかな・・・と,完全にユーザー目線の私は思ってしまう笑

  • Khatib, M. and Rahimi, A. (2015). Attitudes towards English Language Norms in the Expanding Circle: Development and Validation of a new Model and Questionnaire. Teaching English as a Second Language Quarterly, 34(1), 51-81. doi: 10.22099/jtls.2015.3234

(尺度開発というわけではないが)「ネイティブスピーカー主義」の測定

ネイティブスピーカー主義の測定項目,おもしろい。

この論文は実は,妥当性・信頼性検証をとくに何もしてないでただ思いつきで並べただけっぽいんだけど,直感的にはいい線行ってると思う。まさにこういうことだよね。

ただし・・・

11 There are only 7 countries where English is the official language: Ireland, the UK, the US, Canada, Australia, New Zealand, and South Africa.

これ,クイズでしょ!これは,Strongly agree 4 - 3 - 2 - 1 Strongly disagree では答えられないよね。


  1. なお,かなりのミステリーなのが,IJALに載った同名同内容の論文が,ハワイ大のジャーナルにも載っているという点(ハワイ大のはプレプリントサーバーというわけでもなさそう)。ま,わたしの実用上はなんら問題ありません。
  2. 例外的に,(理論)言語学における母語話者原理主義は,すくなくとも理論的には人種の話と独立しており,母語話者かどうか以外の要因を捨象して論じている。他方,政治的言説や大衆的情緒の「母語話者原理主義」にまでこのような「理論的割り切り」を適用することはできないだろう。

Wordで変更記録箇所を一括にハイライトする方法

Word の検索機能は便利ですが,変更履歴を検索することはできないというのは結構有名な話だと思います。 ダメ元で生成AIに聞いてみたところ,Copilot がど真ん中の回答を生成してくれたのでシェアします。 さすが Microsoft のAIだけあってWordに強い!(のか?)

copilot.microsoft.com

これを使うとマクロ設定を含めて1分で置換が終わりました。理屈はまったくわかってませんが,「初心者向けの手順」なるものに従ったら,簡単に成功しました。

ジャーナルによっては修正箇所を(Trackedではなく)ハイライトで明示してと言ってくる場合がありますが,それへの対応で何十分もかかることなく,一瞬でおわるようになります。

Sub HighlightTrackedChanges()
    Dim rev As Revision
    For Each rev In ActiveDocument.Revisions
        rev.Range.HighlightColorIndex = wdYellow
    Next rev
End Sub

余談:チャッピーのポンコツ回答

最初,Chat GPTをつかったんですが,何食わぬ顔で堂々と嘘を教えてきた。

不都合な真実。英語の授業を受けるほど英語力が下がる。日本で一番TOEICが得意なのは小学生。

お断り。この記事は統計ジョークです。

TOEICの運営が前年のスコア傾向に関するレポートを発表しています。このなかで所属学校別のTOEIC平均スコアの統計がおもしろいので,ぜひ見てほしい。

小学生が平均スコアで大学院生をおさえて堂々の第一位!!!

なお,出典は「TOEIC Program Data & Analysis 2020(和文)2020年7月版」 。2024年のデータを見ると,残念ながら小学生は大学院生に負けてました。

授業時数との相関グラフも見てみましょう。授業を受けるほど英語力が下がります。なお,すみません,高校の授業時数は適当に推計しました。

一個目のグラフをよく見ると、リスニング(淡い水色)のスコアは平均383でさらに突出した高さ。

「小学生が200人しかいないんだから信頼できないのは当たり前。1000人くらいはいなきゃ!」ということなら、上のグラフでは中学生がそれに近い。911人。で、中学生のリスニングは341点で院生よりハイスコアでした。

ちなみに悪名高いEF英語力指数は、「400人以上」の回答が得られた国について平均値を算出してランキング化しています。結局何人集めたかが問題じゃなくて、偏りを軽減するようにどう集めたかが重要ってことですね。

https://news.yahoo.co.jp/byline/terasawatakunori/20201107-00206796/

お知らせ:大学院での学生受け入れについて(2025年9月16日更新)

私はこれまで,関西学院大学大学院言語コミュニケーション文化研究科において,修士課程(i.e. 博士前期課程)の指導学生を受け入れていました。

2026年4月1日より,あらたに博士後期課程(いわゆる狭義の博士課程)の指導教員資格を得ました。

私の研究室で修士論文あるいは博士論文を執筆したい方は,同研究科受験をご検討ください。

www.kwansei.ac.jp


受験予定の方の事前連絡あるいはご相談を歓迎いたします。

ただし,受験に際して私への事前連絡は必須ではありません。合格可能性にも影響ありません。

研究上のミスマッチを避けるという目的ただ一点のみにおいて事前連絡をおすすめしています。

逆に言うと,私の専門分野ど真ん中を研究テーマとする方は,研究上のミスマッチはまったくありませんので,連絡頂く必要はあまりないように思います。

私の専門分野は以下です(念のため)

  • 日本における英語教育政策
  • 日本における英語教育制度の歴史
  • 日本社会における人々の英語使用・英語観・英語教育改革への意識などの分析。とくに計量分析(※質的研究でもOK)
  • 批判的言語教育(マルクス主義理論,社会学理論等)のアプローチに基づく英語教育・学習や英語観,英語イデオロギーの批判的分析

反対に,以下の分野は,よく間違えられますが,専門にしていません。

  • 指導法
  • 教室指導,とくに批判的言語教育(マルクス主義理論,社会学理論等)のアプローチに基づかないもの
  • 第二言語習得
  • L2動機づけや語学ビリーフなど,批判的言語教育(マルクス主義理論,社会学理論等)のアプローチに基づかない情意面の研究

上記の中間にあたるテーマはご相談いただいたほうがいいかもしれません。たとえば,

  • 他国の英語教育政策・制度
  • 教室研究だが,批判的アプローチに大いに基づくもの
  • 英語以外の言語イデオロギー・言語政策等に関する批判的研究

以上。