こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

グローバル化と子ども留学(Song, 2011)


Song, J. (2011). Globalization, children's study abroad, and transnationalism as an emerging context for language learning: A new task for language teacher education. Tesol quarterly, 45(4), 749-758.


読んだ。

「子ども留学(短期・中期)が東アジアで流行っているんだけど、この現象はいろいろな課題を引き起こしちゃうよ」という話。

構成

  • Changing the face of immigrant communities
  • Learning english, englishes, or chinese: challenging or reinforcing language ideology of english as a global language
  • Becoming "newcomers" into the home context
  • Blurring the borders between esl and efl contexts
  • Implications for language teacher education


論文の最後は教師教育の話で、最初は何の関係があるんだろうと思ったんだけど、「帰国した子どもを適切に取り扱う必要があるので、教員養成には従来なかった新たな視点が求められる」ということだった。なるほど。

Outer Circle(フィリピン等)の留学から帰ってきた子供が自国の教室内のネイティブスピーカー規範を揺さぶるという話が面白かった。

日本では子ども留学はまだほとんど浸透していないだろうが、スカイプ英会話なんかでフィリピン英語 and/or ノンネイティブ英語に触れている子どもは多そう。似たようなジレンマは既に生じているのかもしれない。