こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

「第5回 新渡戸記念シンポジウム」 @上智大

8月2日〜3日、上智大学で開催された「新渡戸記念シンポジウム」に行ってきました。国内外の「超」著名な研究者の講演を聞けた贅沢な二日間でした。惜しむらくは、2日目の最初の数十分に遅刻したこと。R.フィリプソン教授の講演を聞き逃してしまいました。。。


以下、思ったことを徒然にメモ。

  • エスペラントが話されているのを初めて目の当たりにした。感動した!
  • スポークン・エスペラントは、話者(の母語?)によって、かなり響きが変わる。イタリア語風に聞えるものもあれば、スラブな香りがするものもあるし、カタカナ語(カタカナ英語)に聞えるものもあっておもしろい。
  • LHRs(Linguistic Human Rights;言語的人権)については、(兼ねてから)共感するところと疑問なところがある。私の(ある種「限定的な」)定義では、人権は「保障されなければいけない属性に関するもの」であり、したがって保障を前提とするならば、「国家の枠組み」の中で法的に処理されるものだと思っている。日本国憲法にもある「基本的人権の尊重」というもの。
  • 津田先生が、「人権って普遍的なものじゃないんではないですか?」(要旨)と質問されていた。まあ、この質問とは、文脈が違うのだけれど、国家の枠組み、そして法的枠組みで考えるならば、やはり(言語的)人権は普遍性を持たないと思う。法的に「(言語的)人権」が保障されていない国はいくらでもあるし、「国民」からはみ出す人々の権利を保障することはできなくなる。日本で言えば、日本国籍を保持していない在日外国人に、言語的人権の保障が「法的に」根拠付けられるのか、という疑問がわく。
  • 「理念」として訴えているというならわからなくもない。が、具体的・個別的「保障」に関する理論が欲しい。