こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

2000年代後半、日本社会の英語使用は減りました、という論文

論文出ました。



寺沢拓敬 2014. 「日本社会は『英語化』しているか ―2000年代後半の社会調査の統計分析から」『関東甲信越英語教育学会学会誌』 28. pp. 97-108.


論文をそのまま載せるのはグレーらしいんですが、草稿であれば載せてもセーフらしいのでこちらにアップロードしておきます。 →PDF(Dropboxのリンクが開きます)

内容

ひとことで言うと、「過去数年で英語を使う人の数は減ったよ!」ということを実証した論文です。近年のグローバル言説を真っ向から否定してますが、まあ、グローバル化には「金融危機グローバル化」も含まれるので、不況になれば英語使用も減るのは当然だろう、という議論をしています。


ちなみに、5.2.節では、日本の英語教育学の現状に対する批判もしています。批判的記述にもかかわらず掲載を快諾していただいた学会の懐の深さに感謝します。

キーワード

英語化 英語使用 仕事と英語 無作為抽出標本 社会統計

構成

1. はじめに
 1.1. 「日本社会の英語化」言説
 1.2. 「英語化」言説を検証する意義
 1.3 無作為抽出・2 時点間比較の重要性
2. 方法
 2.1. データ
 2.2. 設問
 2.3. リサーチクエスチョン
3. 英語使用の増減
4. 英語使用減少の背景
 4.1. 基本属性別
 4.2. 産業別
 4.3. 企業規模別
5. 考察
 5.1. 英語化言説のイデオロギー的機能
 5.2. 英語化に関する社会科学的研究の必要性
6. 結論