今週は、『教育社会学研究』最新号の格差特集を読む週間に設定〜
◆高等教育政策において最重要理念とされた教育機会の均等は、学生援助制度や低授業料政策などで実現されようとはしなかったのはなぜか?
- 高等教育費は「私的負担」という風潮
- 現実主義(公費には限りがある)
- 高等教育を公費でまかなうことの効果に対する疑念
- 高等教育の過剰論、不要論
- 経済成長による家計の経済力の上昇→教育費の相対的負担の低下
◆将来的な予測
- 所得の伸び悩みによる家計負担の増加→高等教育費を負担する余裕の限界
- 少子化、大学進学の容易化にともない、学力より経済力が進学力を左右する可能性の上昇
- 知識を持つ者と持たざる者のあいだの所得格差の拡大
- 「どの大学のどの専攻に入れるか/は入れないか」についての格差という問題(大学進学/非進学という格差とはまた別の問題)
- 留学生受けいれおよびその援助に関する問題
- 公的な財政的補助の低下(あるいは据え置き)
◆日本の高等教育
- 拡大から抑制
[オイルショック以降の]高等教育政策は、拡大から抑制に大転換し、とりわけ地域間格差については、大都市圏での抑制によって、地域間格差の縮小を図るという消極的な政策に転じた。この政策転換で重要なのは、これ以降の高等教育政策は、格差是正をほとんどこの抑制による地域間格差の縮小という問題だけに限定したことである(p. 108 強調引用者)
- 高等教育拡大と格差
- 高等教育の拡大が格差を縮小することは一般的には必ずしも成立するとは限らない
- 家計の豊かさによって、教育費の負担能力が異なり教育等資料に所得階層間格差が存在する(金子, 1987)
- 「学生生活調査」の分析結果―格差は平準化している―に対するコメント
- 「格差は平均では生じていないとしても、限界層(マージナルな部分)で生じている可能性がある(p.111)」
- 格差は実態より意識において大きい可能性
- 進学機会(アクセス)の格差は平準化しているが、大学・専攻選択の格差、自宅通学などの選択の格差、および地域間格差は拡大しているかもしれない