こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

松崎邦守・北條礼子 (2003). 「公立小学校における『英会話活動』に関する意識調査―公立小学校現職教員に対するアンケート調査をとおして」 『日本児童英語教育学会 紀要』 第22号 pp.101-124.


現職の小学校教員を対象にした小学校英語の実情(ほか)に関する意識調査、この視点をもった研究は(意外にも!)新しい。


なぜなら、、、

  • 現職小学校教員を対象にしていて
  • いわば「政策論的問い」(小学校英語に賛成?反対?のような)ではなく、
  • 「現場の実態」に関して尋ねている

研究(意識調査)というのは管見の限りではないから。

おもしろかった点

  • 「英語活動の問題点」、たとえば「教師のゆとりがなくなる」のような項目は、英語活動の指導経験の有無に関わらず、いずれも問題として認識されている。
    • →いわば「無知ゆえの問題視」ではない、という示唆
  • その一方で、「英語活動を希望している」教師は、(意欲群と言い換えてもいいかも)、希望していない教師よりも、「ゆとりがなくなる」論には与しない。ただし、5件法の平均値でおよそ 0.6 の差であって、「劇的な違い」と言えるかは微妙。