こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

外国語教育研究の再現可能性2021に登壇しました。

シンポジウム「外国語教育研究の再現可能性2021」に登壇しました。 私は、「社会学と『同解釈を導く研究結果が得られる可能性』」というタイトルで自由研究発表をしました。スライドは記事末尾に。

昨日の議論を最初から最後まで聞いていて思いましたが、「科学」という言葉は使うのをやめたほうがいいんじゃないかと思いました。とくに、「科学的知識」と「科学っぽい(でも科学以外でも使われている)客観的な手続き」の話がごっちゃになって議論されていたように感じますので、明確に区別して使ったほうがいいんじゃないかと思います。…というのは上品な言い方で、これを区別しないと議論がほんとうにクソみたいなコミュニケーションになるので、区別せずしゃべるのは絶対やめたほうがいいというのが個人的な気持ちです

昨日の発表でも話しましたし、以下のスライドにもありますが、外国語教育の再現可能性の是非を論じる文脈で(肯定的にも否定的にも)取り沙汰されているのは「科学的知識」ではなくて、「脱文脈化された知識」だと思います。

典型的な例が、「振り返り」およびそのテクノロジーとしての「振り返りシート」です。これは科学的知識、いわんや科学的メカニズムについては何も言ってないにもかかわらず、ある種の「現場の知恵」として急速に浸透しています。結果、脱文脈化された知識として実践に影響を与えています(実践者を啓蒙したり、逆に、抑圧したりしています)

物理学や化学の再現実験ではなくて、こういうもの「効果の再現性」を問題にしてるんでしょ?