日本社会を文脈にした「英語学習とジェンダー」に関して、今まで調べた範囲でリスト化しておきます。
このトピックは研究者じゃない人でもたまに触れたりするのに、意外にも、実証研究は多いわけではないんですね。
リストは随時更新します。「こんな文献もある」といった情報をお持ちのかたは、コメントしていただけるとたいへんありがたいです。
著書(研究者によるもの)
英語で書かれた本ばかりですが、これは偶然じゃありません。日本の英語教育学には、こういうテーマを扱う学術システム・知識システムが整備されていないからです。(その証拠に、以下で唯一の和文文献の著者・北村さんは、英語教育学者・応用言語学者ではありません)。
Kimie Takahashi Language Learning, Gender and Desire
オーストラリアに語学留学に来た多数の日本人女性の西洋への憧れ、恋愛、そして葛藤。
- 作者: Kimie Takahashi
- 出版社/メーカー: Multilingual Matters
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: Kindle版
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北村文 『英語は女を救うのか』
社会学者による、女性英語学習者・英語使用者へのインタビューにもとづく、アイデンティティの分析。他の研究と比較しても、ジェンダー論・フェミニズムへのコミットメントが強い印象。
- 作者: 北村文
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/02/26
- メディア: 単行本
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Laurel D. Kamada Hybrid Identities and Adolescent Girls
- 作者: Laurel D. Kamada
- 出版社/メーカー: Multilingual Matters Ltd
- 発売日: 2009/12/15
- メディア: ペーパーバック
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Karen Kelsky Women on the Verge
西洋/白人男性/英語に憧れ、日本/日本男性を忌避する女性たちへの長期に渡るフィールドワーク
Women on the Verge: Japanese Women, Western Dreams (Asia-Pacific)
- 作者: Karen Kelsky,Rey Chow,Harry Harootunian,Masao Miyoshi
- 出版社/メーカー: Duke Univ Pr
- 発売日: 2001/11/01
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論文
Piller & Takahashi. 英語への情熱
Piller, I. & Takahashi, K. (2006). A passion for English: Desire and the language market. In A. Pavlenko (ed.), Bilingual Minds: Emotional Experience, Expression and Representation. Clevedon, UK: Multilingual Matters, pp. 59-83.
http://languageonthemove.com/downloads/PDF/piller_takahashi_2006_akogare.pdf
Keiron Bailey. 2006. 英会話ワンダーランド
http://www.envplan.com/abstract.cgi?id=d418
Bailey, K. 2006. Marketing the eikaiwa wonderland : ideology, akogare, and gender alterity in English conversation school advertising in Japan. Environment and Planning D: Society and Space, 24(1), pp. 105-130.
小林葉子 2005. 「エンパワメントとしての英語力とジェンダー」
Kobayashi, Yoko. 2007. Japanese working women and English study abroad
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1467-971X.2007.00488.x/abstract
本(ルポルタージュ等)
安井京子『女は英語でよみがえる』
タイトルが素敵。実際はいろいろ大変な事情があったようで、そんなに「よみがえ」ってない。
- 作者: 安井京子
- 出版社/メーカー: はまの出版
- 発売日: 1999/06
- メディア: 単行本
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富岡多恵子『「英会話」私情』
現代とは異なる、戦後前期の「英語と女性」の歴史を考えるうえで必読
- 作者: 富岡多恵子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1983/09
- メディア: 文庫
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川恵美『彼女がニューヨークに行った理由―OL留学症候群』
1980年代以降の留学ブームを考えるうえで。
- 作者: 川恵実
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1991/07
- メディア: 単行本
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斎藤聖美『女の出発―ハーバード・ビジネス・スクール』
これも1980年代に日本を旅だった女性の記録。
- 作者: 斎藤聖美
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1984/01
- メディア: 単行本
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以下は、きちんと読んでいませんが、知人からタレコミがあったもの。これから確認します。
吉原真理 『ドット・コム・ラヴァーズ』
ドット・コム・ラヴァーズ―ネットで出会うアメリカの女と男 (中公新書)
- 作者: 吉原真里
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/06
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多賀幹子『帰国子女の就職白書』
- 作者: 多賀幹子
- 出版社/メーカー: 研究社出版
- 発売日: 1995/01
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多賀幹子『ニューヨークで夢探し』
- 作者: 多賀幹子
- 出版社/メーカー: 時事通信社
- 発売日: 1991/01
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雨宮和子・大井恭子『アメリカを暮らす』
アメリカを暮らす―カリフォルニアとロングアイランド (旺文社文庫)
- 作者: 雨宮和子,大井恭子
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 1986/02
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番外編 ――愉快な(愉快じゃない)ミソジニスト英語教育学者たち
英語帝国主義批判における女性観 ―津田幸男 保守的ジェンダー観で日本女性の英語学習を「英語帝国主義」とぶったぎる
- 作者: 津田幸男
- 出版社/メーカー: 電子本ピコ第三書館販売
- 発売日: 1991/01
- メディア: 単行本
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英語下手のすすめ―英語信仰はもう捨てよう (ワニのNEW新書)
- 作者: 津田幸男
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2000/07
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