2018年5月13日追記 本稿に対し、統計アイドルなどと称する非実名アカウントが、「この論文の分析の問題点を考えるのは統計のツッコミ力を鍛える訓練になる」などと言って、他のアカウントにも「ツッコミ」を呼びかけていた。ただ、詳しく聞いてみたところ、当該アカウントの理解不足(データの制約がわかっていない点、ドメイン知識を持っていない点)に起因するのが大半だということがわかった。
ここの「統計アイドル」のように誤解する人がたまにいるので追記しておく。本研究は二次分析である(「二次分析」がわからない人はググって下さい)。したがって、所与のデータの特性・条件を前提にする必要があったという制約を理解しない批判は無意味である(理解したうえで、それでもなお批判するということであれば問題ない)。
余談。一般論だが、統計アカウントであれば統計アカウントらしく、ドメイン知識に関することは偉そうに講釈をたれず、ただ沈黙すべきだろう(実際には計量社会学等にも明るいのかもしれないが、それを示す手がかり(実名等)がないのでわからない)。【追記終わり】
論文が出ました。
寺沢拓敬 (2018) 小学校英語に関する政策的エビデンス『関東甲信越英語教育学会』32号, pp. 57-70.
内容はこういう感じです。↓
私のこの研究を目にして「この研究は否定的な結果を示したけど、肯定的な研究もあるよね。判断は難しいよね」というまとめ方をする人がいそうですが(実際、以前にいましたが)そういうことは是非やめていただきたいと思います。
たしかに、小学校英語の有効性に関する実証研究は非常に多数行われていて、その結果も「効果あり」から「効果なし」までバラバラです。しかし、その多様さをそのまま受容するのは、研究エビデンスの文脈では間違いです。エビデンスを「みんな違ってみんないい」という金子みすゞモデルで理解してはいけません。「ダメなデザインのものはダメ、良いデザインのものは良い」という是々非々の態度で判断してください。
本文でも述べていますが、本研究が、外的妥当性・内的妥当性を重視し、だからこそ平均的なレベルでは日本人児童に一般化できる点は正しく考慮していただきたいと思います。