こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

6月23日,CELESで「英語力ランキング批判」という共同発表を行います

6月22-23日に富山大学で行われる中部地区英語教育学会で,奥住さん(埼玉大学)・浦野さん(北海学園大学)と「英語力ランキング批判:EF-EPI,TOEFLスコア,英語教育実施状況調査」という口頭発表を行います。内容は,タイトルそのまんまです。

タイトル

英語力ランキング批判:EF-EPI, TOEFLスコア,英語教育実施状況調査

要旨

近年、英語教育に関する議論において、英語力ランキングが頻繁に持ち出される。たとえば、EF社の英語能力指数(EF-EPI)やTOEFLスコアを流用した国際ランキング,あるいは,英語教育実施状況調査を流用した都道府県ランキングである。本発表では、こうしたランキングは、科学的・統計学的に正しくないばかりか、政策形成にとっても現場の実践にとっても負の影響が大きいことを論じる。先行研究にも、TOEFLスコアランキングのような「統計の誤用」を方法論的な観点から批判したものはある。しかしながら、この現象を広範な社会的文脈に置きながら、誤用の蔓延の背景およびその影響(主に、負の影響)を批判的に検討した研究はまだない。そこで本発表では、日本社会において英語力ランキングがどのように生み出され、どのように私たちに影響を及ぼし得るのかを批判的に検討する。具体的には、次の点を論じる。第一に、EF-EPIやTOEFLスコアを用いた国際英語ランキングがいかに統計学的に間違っているかを論じる。第二に、英語教育実施状況調査を用いた都道府県ランキングをめぐる,測定上および調査実施上の問題を指摘する。第三に、こうしたランキングが実際にどのような負の影響を及ぼし得るのかを、教育実践への影響、政策への影響、そして英語教育学コミュニティへの影響という3つの観点から検討する。