こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

共著論文出ました:大学英語入試改革(四技能試験)の政策過程分析

私たちの論文が Current Issues in Language Planning から出版されました。筑波大院生の須藤爽さん,ブリティッシュコロンビア大学PhD Candidates の梶ヶ谷毅さん・青山 良輔さん,同大教授の久保田竜子さんとの共著です。

  • Terasawa, Takunori, So Sudo, Takeshi Kajigaya, Ryosuke Aoyama, and Ryuko Kubota. 2024. “Slogans as a Policy Distractor: A Case of ‘Washback’ Discourse in English Language Testing Reforms in Japan.” Current Issues in Language Planning, June, 1–24. doi:10.1080/14664208.2024.2355016.

https://doi.org/10.1080/14664208.2024.2355016

2022年のサバティカル(@ブリティッシュコロンビア大学)の成果のひとつです。

実は,共著論文としては,10年ぶり2本目。共著筆頭著者としては人生初です。共著マネジメントがとても勉強になりました。いろいろ失敗もしましたが(Googleドキュメントでファイルの書式がぜんぶ飛んだり…)。

内容はというと,2010年代後半の大学入試改革――いわゆる「四技能型外部試験」の導入をめぐる改革(結果的に導入失敗)――の政策過程を分析したおそらく初めての国際誌論文です。とくに,政策過程における「試験のウォッシュバック(波及効果)」言説の役割(主に悪影響)に焦点をあてています。

「ウォッシュバック」はもともとテスティング研究(妥当性検証)の用語ですが,教育プログラム改革(つまり意思決定)の言説にルースに概念拡張され,政策過程を混乱させたのではという分析です。その意味で,応用言語学における科学的(ディス)コミュニケーションの事例として読むことも可能です。

Draft Version (Academia.edu)