新刊『川と国土の危機』を拝読。
知的貧乏症なので、専門外の本を読んでいても「いろいろ勉強してやろう!」という下心が働いて、純粋に読書が楽しめないタイプなんだが、この本はかなり純粋な読書として楽しめた。川が趣味的に好き、防災教育にも興味があるからだと思う。
と思ったらすぐ矛盾するようなことを言うんだが、防災工学領域は、歴史研究が「いまここ」の科学にかなり直接的に示唆を与えられる知識領域なんだなあとあらためて実感した。(最近脚光を浴びた典型的な例が、津波の歴史研究)
教育研究(教育史研究)だと、ここまでダイレクトに、「いまここ」の教育(実践)に結びつかない、すくなくともそうイメージされていると思うんだけどどうだろう。
容易に実験できない、というか、疑似実験すらできないような現象を対象にする場合、かつ、発生頻度が数十年〜数百年に一度の現象を考察する場合に、歴史研究という方法論の重要性ががぜん増すんだろうか。津波や、特定河川の洪水なんかはまさにその典型だ。教育研究だと何が該当するだろう?
- 作者: 高橋裕
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 新書
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