こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

「農民のほうが健康で長生き」補足

以下の記事。
畑仕事をしている人ほど健康で長生き、介護も不要というのはイメージに過ぎないのだろうか? - ICHIROYAのブログ

おもしろいんですが、意図とはちがう結果がでてしまったようなので勝手に補足させていただきます。

縦軸を人口に占める要介護者数にした場合

以下が議論の出発点になるグラフ。上記、ICHIROYAさんのブログのものと一緒です。

縦軸を高齢者に占める要介護者数にした場合

上の図の都道府県をみて気づくのは、図の右上にある県、つまり農民が多くて要介護者割合も高い県は、みな典型的な「地方」の県であること。これ、たぶん、「地方の高齢化」がはたらいているんじゃないか、と思えてきます。


つまり、「地方→高齢化→要介護者増加」と「地方→農業人口が多い」というメカニズムが同時に起きているんではないかという可能性が思い当たります。


たしかに、高齢者の割合が多ければ多いほど、要介護者の割合も増えていくのは自然ですので、この点を考慮してみたいと思います。

というわけで、縦軸の分母を「総人口」ではなく「高齢者(65歳以上)」にして、もういちど描画したものが以下のグラフ。

だいぶ、相関が弱まるのがわかります。

縦軸を後期高齢者に占める要介護者数にした場合

そして、縦軸を「後期高齢者(75歳以上)に占める要介護者数」にすると、相関は完全になくなります。