こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

社会環境・家庭環境によって英語力達成は変わるか (拙稿の宣伝)

寺沢拓敬 (2009). 「社会環境・家庭環境が日本人の英語力に与える影響―JGSS-2002・2003の2次分析を通して」大阪商業大学比較地域研究所・東京大学社会科学研究所編 『日本版 General Social Surveys 研究論文集 (8) JGSSで見た日本人の意識と行動』(pp. 107-120)大阪商業大学比較地域研究所


JGSSのウェブサイトからダウンロードできます。
http://jgss.daishodai.ac.jp/research/res_top.html#8


昨年のJGSS公募論文で「優秀論文」を頂いたものを載せて頂きました。
概要をひとことで言うと、「個人の英語力にも階層的な影響がある」というもので、それだけなら常識的にも予想可能な何て事はない結論なんですが、それでもなお「ウリ」を言うならば、

  1. 戦後、女性の英語力の急上昇(女性の進学機会が拡大したというだけでは説明できない)
  2. 英語力の「男女」格差は、戦後、「女性内」の格差に転換した可能性(女性の英語力上昇は、階層的に有利な女性によってもたらされた)

ということでしょうか。
1.に関しては、実のところ、「よくわからない」で終わっていまして、なぜこうなるのかは今後の課題です。
2.のメカニズムは、なんとなくは目処がついていて、まあ、アレが多分アレな感じで効いてるんじゃないのかなあという感触がありますので今後きちんと実証してみたいところです。もしこのアレが確かならば、1.も芋づる式に解明できそうです。


ともあれ、まだまだ拙い分析、アクロバティックな解釈も多々あるとは思いますが、興味を持たれた方はご笑覧になっていただければ幸いです。