2016年の振り返りを、2017年元日に書くシリーズ!
アカデミックな業績は以下参照。
寺沢拓敬 - 研究者 - researchmap
査読付き系の業績
国際誌一本、国内誌一本。いずれも、2015年以前に勉強した「貯金」をもとにした論文なので、2016年の成果というとちょっと違う。
英語教育時評
大修館『英語教育』の英語教育時評(要はコラム)でリレー連載を持った。これも2015年以前の貯金ベース。
講演
講演にも呼んでもらった(上記のリサーチマップ参照)。エビデンスベースト関連の話なので、これも2015年の貯金。
メソドロジーのワークショップの講師も依頼された。
LET2016 ワークショップ 「外国語学習・教育・授業の研究「方法論」入門―量的研究と非量的研究―」
正直、各メソッドの細かいハウツーの話にはあまり興味はないのだが、メソドロジー(methods の認識論的/実務的使い分け)の話は大好きなので、楽しめた。夏休み前半はこの準備のためにいろいろメソドロジーの本を読んで、勉強にはなったんだが、逃避のためにメソ本を読んでる感もなくはなかった(上述の国際誌論文の修正再投稿期限が目前に迫っていたので)
インプット
2016年のアウトプットはほとんどが2014年までの業績中心。2016年に何か新しいことを生み出したかというとそんなことはなかった。まあ、専任一年目なので仕方ないとしよう。
インプットを大量にしたかというとそんなことはなくて、本をむさぼり読んだというわけでもない。ただ、なんとなく今後の方向性みたいなのは決まり始めた。
単著1冊目が「歴史的アプローチによる経験的研究」、2冊めが「計量的アプローチによる経験的研究」なので、次あたりは理論研究を考えている。アクセシブルなデータももうあんまりないしね。
方向性としては、要は「北米の応用言語学の"最先端"の後追い」的なことを考えている。英語教育と政治経済 (political economy) あたりが取り急ぎのテーマ。北米に留学したこともない私がなぜ北米の「輸入」をやっているかってのはよく意味がわからない。
『日本人と英語の社会学』英訳版
ありがたいことに平成28年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)をもらえて、拙著『日本人と英語の社会学』の英訳版が、Trans Pacific Press から出版予定。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/13_seika/data/seika_saitaku/h28_seika_saitaku.pdf
書名は、Rethinking English-language Education in Japan. (仮題ではなくてこれで確定です。出版助成に応募するにあたって書名は確定版を出すことになっているので)
現在、絶賛校正中(校正開始したばかり)。2017年末か来年初頭には出る予定です。
ヤフーニュース(個人)が本格的に復活
ヤフーニュース(個人)での執筆を2015年春からはじめていたんだけれど、長い間放置していた。なんとなく夏頃に再開した。意外にもなかなか良いプラットフォームだと思った。
英語教育関連を中心に書いていた関係で「誰がこんなニュース注目するんだよ」と半信半疑だった。実際、ほとんど話題にならず、ページビューは並み居るオーサーのなかで最低クラスだと思う。
ただ、ある記事がきっかけで東京FMの電話出演に呼んでもらったりもして(以下)、ヤフーニュース単体では影響力はなくても、ポジティブなフィードバック効果も起きたりするんだなあということを実感した。
小学校英語教科化をめぐって、日本人と英語にまつわる誤解(寺沢拓敬) - 個人 - Yahoo!ニュース
ウェブメディアではページビュー優先の若干(あるいはだいぶ)誇張した記事を書く人もけっこういる。ページビューと広告収入は比例するわけでフリーライターだと確かにそっちのほうが合理的な場も多そうだが、私はフリーランスではないので、マニアックなテーマを正確に書いていきたい。
なお、ここでの「正確性」は悪意を込めずに淡々と書くという意味ではない。
「正確な記事=悪意のない記事」みたいな等式で考える人がたまにいる。(そして、これが大修館『英語教育』の各記事がつまらなくなる原因のひとつである)。しかし、正確性と悪意は必ずしも対立するものではない。自分の場合、悪意(というか憤り)みたいなのはが文章を書く原動力なのでそこを省くのはちょっと考えられない。
「悪意があると、内容がよくても拒否反応を示す人がいるからやめたほうが・・・」と忠告してくれる人もいる。「悪意のにじみ出る文章のほうが好きな人がいる」という事実は認識しているのだろうか。長期的に見たら、どっちが損か得かというのは一概にいえないように思う。もちろん、「悪意に基づく不正確な記事」が長期的に損になることはまあ間違いないだろう。