こにしき(言葉・日本社会・教育)

関西学院大学(2016.04~)の寺沢拓敬のブログです(専門:言語社会学)。

(7月22日更新)メンバー募集:名著『教育政策・行政の考え方』を言語教育政策に引き寄せて読む会(Zoom)

夏休みに、「村上・橋野 2020『教育政策・行政の考え方』(有斐閣)を言語教育政策に引き寄せて読む会」を開催(Zoom)します。参加希望の方はご連絡ください。 Eメールアドレスはこのページにあります。SNSで連絡できる方はそちら経由のほうが気軽だと思い…

英語教育学における「グローバル化」という言葉の使われ方

最初に結論 「グローバル化」は英語教育研究で頻繁に使われているキャッチフレーズだが、「呪文」化しており、論者は誰もグローバリゼーションの先行研究を参照していない。 この手の話は、英語教育研究の論文をある程度読んだことがある人なら誰でも知って…

「新自由主義=グローバル化」観から問い直す小学校英語

来週、第22回 小学校英語教育学会(JES) 四国・徳島大会で発表します。発表準備を兼ねて、予稿集原稿をアップ&加筆していきます。 ちなみに、発表タイトルの「問い直す」は、大会テーマである「今こそ問い直そう、新しい時代の小学校英語教育」に引っかけて…

東アジアの英語教育のジェンダー格差 (Kobayashi, 2014)

Kobayashi, Y. (2014). Gender Gap in the EFL Classroom in East Asia. Applied linguistics, 35(2), 219-223. http://applij.oxfordjournals.org/content/35/2/219 5ページ程度のごく短い論文だが、重要な指摘が多数ある。 語学教員は女性のほうが多い職業…

小学校英語でレポートを書こうとしている(or書く羽目になった)学生のみなさんへ

小学校英語でレポートを書く羽目になってこちらのブログに来たみなさんへ。 過去30年間の経緯をさらっと知りたいなら、こういう記事がありますよ。 これからの英語教育の話を続けよう|第3回 小学生と語る「なんで小学校で英語やるの?」|寺沢拓敬

盗用・剽窃のフローチャート

期末レポートの季節ですね。別名、「盗用・剽窃」指導の季節ですね…。 大学教員には(おそらく)あまりにも自明な「なぜ剽窃がだめなのか、何が剽窃にあたるのか」ですが、学生からはその基準がわかりづらいという声がしばしば聞かれます。 「剽窃=アウト」…

英語教育政策研究における「学習指導要領」の取り扱い

日本の英語教育政策に関する論文を読んでいると、しばしば学習指導要領の位置づけが不思議な分析を見かけることがある。 その不思議さを一言でいうと、学習指導要領が、どの程度の制度的拘束力を発揮しているのか明確になっていないという点である。もっとス…

Flubacher & Del Percio (eds.) (2017) Language, Education and Neoliberalism. Chapters 1-2 メモ

Mi-Cha Flubacher & Alfonso Del Percio (eds.) Language, Education and Neoliberalism. (Multilingual Matters, 2017) を一人読書会している関係で、メモをここに貼り付けます。 要約ですらない完全なメモです。 Language, Education and Neoliberalism: C…

Does the pandemic hamper or boost the necessity for an international language?

My paper has been accepted by the International Journal of the Sociology of Language. As it will perhaps take several days to finalise the manuscript, I welcome your feedback and comments. Draft version (on Academia.edu) - Does the pandemi…

【拡散希望】全国英語教育学会に以前から入会している方にお願い

JASELE(全国英語教育学会)に以前から入会している方にお願いがあります。 過去の全国大会の要旨PDFがパソコンなどに残っていましたら、ご提供いただけないでしょうか。 (※冊子体の予稿集ではなく、200字程度の要旨が載った表形式のものです。参加者だけで…

2022年度はサバティカルでバンクーバー滞在です

実は3月末から22年度サバティカルでバンクーバーに来ています。ブリティッシュコロンビア大学の久保田竜子先生にホストとして受け入れていただきました。来年の3月まで滞在する予定です。 関学研究室宛に電話・郵便をされても転送サービスはありませんので、…

バイリンガル教育の政策実施(現場レベルでの実施)における教師の言語イデオロギー

先日の 言語教育政策論文オンライン読書会(5月例会)で読んだ論文のまとめ。 バイリンガル教育の政策実施(現場レベルでの実施)における教師の言語イデオロギーに関する論文。 アブストにもあるとおり複数の重要な論点がフォーカスされているが、個人的に…

2022年度も継続:言語教育政策論文オンライン読書会のご案内

https://readlangpolicy.jimdosite.com/ 「言語教育政策論文オンライン読書会」を昨年4月に始めて一年たちました。 22年度も継続する予定です。 参加メンバーは随時募集中です。(毎回の参加義務はありません。必要な連絡はすべてSlackで行いますが、情報収…

言語政策研究における思想史的説明?

日本の外国人受け入れ政策に関する論文を枕に Chapple, J. (2014). Japan’s Immigration Intimations and Their Neglected Language Policy Requisites. Asian and Pacific Migration Journal, 23(3), 345-360. https://doi.org/10.1177/011719681402300305 …

「事例研究」というゴミ箱カテゴリ

『英語教育のエビデンス』の第5章で、私は、事例研究についてある程度ページを割いて書きました。 要は、これまでの「教室指導フォーカスの実証研究」は、なんとなーく「効果的な指導のエビデンスを得るため」という目標をもとに行われてきたものが多いけれ…

Prasad (2017) 読書会、8章・9章(史的唯物論・批判理論)ハンドアウト

本日参加したPrasad (2017) 読書会のレジュメ(要約)、せっかくなのでブログにもアップします。Markdownでレジュメを作っておくと、コピペで記事化できるので、みんなも markdown でレジュメを書こう! 質的研究のための理論入門―ポスト実証主義の諸系譜作…

KATEとは無関係『英語教育のエビデンス』Zoom座談会(3月6日朝8時30分)

先日の記事でも告知したとおり、3月6日の朝10時から、関東甲信越英語教育学会(KATE)主催で『英語教育のエビデンス』座談会が開催されます。 その直前に、インフォーマルなZoom座談会を開催することにしました。 2月28日23時追記:開始時刻を9時から8時半に…

「エビデンスと英語教育研究」に関する座談会に登壇します(3月6日)

http://www.kate-j.sakura.ne.jp/ 第21回英語教育「なんでだろう?」座談会 日時:2022年3月6日(日)10:00~12:00 開催形態:Zoomによるオンライン開催 テーマ:英語教育におけるエビデンス 参考書籍:『英語教育のエビデンス:これからの英語教育研究のた…

ネオリベラリズムと小学校英語

LEP読書会 2022-02-19で以下の論文を読んだ。 Sayer, P. (2015). “More & Earlier”: Neoliberalism and Primary English Education in Mexican Public Schools. L2 Journal, 7(3). http://dx.doi.org/10.5070/L27323602 Retrieved from https://escholarship…

新英研関東ブロック研究集会で講演します(22年1月9日)

来年1月9日の新英研関東ブロック研究集会で講演します。 タイトルは、「英語教育政策のあり方:拙著『小学校英語のジレンマ』を中心に」です。 講演の概要を転載します。 拙著『小学校英語のジレンマ』(2020年、岩波新書)では、小学校英語のみならず、日本…

朝ドラ105作品のあらすじをテキストマイニング

私の専門分野(戦後英語教育史)的に最新作の『カムカムエブリバディ』にはたいへん興味がありまして、そのもののはずみで、全105作品の傾向を知りたいなと思ってテキストマイニングに手を出してしまいました。むだに時間がかかったので今は後悔しています。…

言語政策と政治理論(Language Policy 誌特集)

11月の言語教育政策オンライン読書会は、「言語政策と政治理論」がテーマだった。その関係で、以下の本を読んだ。 Language Policy and Political Theory: Building Bridges, Assessing BreachesSpringerAmazon 本書は、Language Policy 誌の2014年の特集 を…

共著が出ました。『英語教育のエビデンス』

発売から2ヶ月近く経過してしまいましたが、9月に以下の本を出しました。 亘理陽一・草薙邦広・寺沢拓敬・浦野 研・工藤洋路・酒井英樹〔著〕『英語教育のエビデンス――これからの英語教育研究のために』(研究社、2021年9月) https://books.kenkyusha.co.jp…

日本人就労者がどれだけ英語を使っているかを推計した論文が出ました。

おことわり この記事の日付は2021年になっていますが、その後にアクセプトされた論文を含めるため2023年2月に加筆しています。 日本人就労者がどれだけ英語を使っているかを推計した論文が出ました。 寺沢拓敬 2021. 「日本人就労者の英語使用頻度 : ウェブ…

学会発表で「自著の宣伝を禁じる」方針の有効性について

小学校英語教育学会の自由研究発表に応募した。すると、大会運営委員会は、自著の宣伝を(内部の運用上)禁止しているらしく、修正を要求された。8月の話であるので、一応解決済みではあるが、あまり有効な方針ではないように思うので私見を述べておきたい。…

外国語教育研究の再現可能性2021に登壇しました。

シンポジウム「外国語教育研究の再現可能性2021」に登壇しました。 私は、「社会学と『同解釈を導く研究結果が得られる可能性』」というタイトルで自由研究発表をしました。スライドは記事末尾に。 昨日の議論を最初から最後まで聞いていて思いましたが、「…

松岡亮二編『教育論の新常識』に寄稿しました

松岡亮二編『教育論の新常識』(中公新書ラクレ)が発売されました。 教育論の新常識-格差・学力・政策・未来 (中公新書ラクレ, 740)作者:松岡 亮二中央公論新社Amazon 私も「『グローバル化で英語ニーズ増加』の虚実」という章を書いています。 内容として…

「純ジャパ」が批判される根拠の切り分け

ソーシャルメディアで定期的に話題になる「純ジャパ」という用語について。 いつも議論がすれちがっているように思うので、最低限切り分けるべきポイントをメモしておく。 本ブログでの過去の言及は以下: 純ジャパ の検索結果 - こにしき(言葉・日本社会・…

北教大入試問題に拙著が出題されました(ウェブで見られます)

北海道教育大の入試問題(小論文)に拙著『小学校英語のジレンマ』終章が使われたという連絡を受けました。ありがとうございます。 当該の過去問は、期間限定で、同大学のウェブサイトに公開されています。 https://www.hokkyodai.ac.jp/files/00002500/0000…

JACET北海道支部大会で講演します(7月15日夕方)

大学英語教育学会(JACET)北海道支部 2021年度支部大会 2021年7月14日(水)~15日(木)オンライン(Zoom) 基調講演:寺沢拓敬「〈学術的〉英語政策研究のあり方」 プログラム・参加方法等詳細は支部ウェブサイトに掲示されています